Komogomo
広報誌こもごも


当園の広報誌「こもごも」は、「悲喜(ひき)こもごも」より名付けています。
「悲喜(ひき)」とは「悲しさと喜び」、「こもごも」は「入り混じる。次々に」を意味します。
総じて「こもごも」は一人ひとりの心の中が、嬉しさと悲しさで入り混じっていることとなります。
当園の広報誌は、利用者様のおひとりおひとりの毎日に寄り添ったものでありたいとの願いを込めて作成させていただいております。
利用者様といつも笑顔で。。。がモットーですが、やっ
と秋の気配が感じられるようになってきたのに、残暑でま
た、夏バテしそうな相談員 水野です。
芽生え幼稚園の園長先生が、園児さんからの敬老のプレ
ゼントを届けに来てくださいました。
可愛い笑顔いっぱいのメッセージを頂きました!!!
利用者様も突然のプレゼントに笑顔いっぱい。
コロナ禍で直接地域の施設との交流が出来なくなり、せ
っかく、出来たご縁を何とか継続したい!と機会があるご
とに、各施設に梅林園の熱意を届けてまいりました。
直接園に来れるようになったら、ぜひ、行かせてほしい
とメッセージをいただき、私たちも、早く、直接交流が出
来るようになって、子供たちの元気いっぱいの笑顔を見せ
ていただきたいと願っています。
こんな、サプライズは、大歓迎です。いつでもお待ちし
ています!!!
介護職(男性)が日々感じた事を話す、略して「介男
話」です。
今回のコラムは今でも時々思い出すエピソードです。
ひまつぶしにどうぞ♡
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委員会が始まるまでの暇つぶしコラム |
『コーヒーとアメリカちゃんと頑張るメガネさん』
最近、朝食の飲み物を娘に聞くと、次女は必ず「コ
ーヒーちょうだい♡」と返ってくる。ホットミルクに
ちょこっとコーヒーを入れ、たっぷりのお砂糖を入れ
て出す。コーヒーは大人の飲み物というイメージの次
女は「コクが深い!」なんて言いながら、得意げに飲
んでるんだけど、こんな時ふと思い出す利用者がいる…
「コーヒーおくれ!」寮母室(昔はこう呼んでいた
)に独特なガラガラ声が響き渡る。入口でシルバーカ
ーの上にコップを置き、Yさんが立っている。「了解
」と返事をし、冷蔵庫から預かっている1ℓパックのコ
ーヒー(あのめっちゃ甘いやつ)をコップに注ぐ。 1
日5~6回来るからB棟で働く職員は皆「はいはい、ま
た来たのね」といった所だ。
このYさんは女性なのだが、丸太の様な風体で、ギ
ョロッとした目、虎刈りの様な髪型、短気で、パンチ
が強く、職員を「ウス」とか「ゴンボ」とか独自のあ
だ名で呼び(僕は「メガネさん」でA主任は「ニコニ
コ」)、僕の彼女(今の嫁)が働いている時は「アメ
リカちゃん」と呼びかわいがってくれていた。また「
自分の事は自分でせなアカン」と強い意志で生活し、
それが出来る人だった。
「はいコーヒー」「おおきに、身体に気ぃ付けて、
アメリカちゃん大事にせなアカンで」僕と接する時、
必ずこのセリフを言う。偏屈で頑固者だから内心腹が
立つ時もあったけど、このセリフが社交辞令ではなく
本心からだと解るから、僕はこのセリフを聞くのが好
きだった。
Yさんは「やっちまった時」とかに、ニタァとし
た不器用な笑顔を見せる。くわえタバコで清拭を畳
んで清拭を焦がした時、カッとなり他の利用者とト
ラブルになった時、僕が冗談を言った時なんかもそ
うだ。笑顔の似合わない女性を見たのは後にも先に
もこのYさんだけだ。
僕は人事異動でYさんとは別の棟で働く事になった
んだけど、B棟の廊下で会うと必ず「コーヒーおくれ」
って来て、「身体に気ぃ付けて、アメリカちゃんを大
事にせなアカンで」と言ってくれた。その内Yさんは
丸太の様な身体を自分の足で支えられなくなり、車椅
子となった。自分で何でもしようとするからよく転倒
し、身体の色んな所にアザを作る様になり、おでこに
でっかいアザを作った時なんかニタァとした不器用な
笑顔を見せ「身体に気ぃ付けて、アメリカちゃんを大
事にせなアカンで」と言うから「自分の身体を心配せ
ー」とつっこんだりもしていた。その内仕事も忙しく
なり、Yさんと廊下で会う事もなくなった。会わなく
なってから数ヶ月後、Yさんが入院したと聞いた。結
構長い間入院していたんだけど、退院するって聞いて
、アメリカちゃんと結婚もしたし、久しぶりに会いに
行った。しかし、そこには僕の知るYさんは居なかっ
た。病気の為片足は切断され、丸太の様な身体は痩せ
細り、何でも自分でしてきた両手は木の枝の様に力な
くただそこに置かれ、頬もこけ、小さく息をしている
人がそこには居た。
何て声を掛けよう…僕の事憶えているとは思えない…
なんて考えていると、ベッド上の「Yさんみたいな人
」と目が合った。…ニタァとした不器用な笑顔をした…
それはまぎれもなく、Yさんの「それ」だった。その
瞬間Yさんとの思い出が頭をめぐり、想像すら出来な
いその笑顔の裏側を考え胸が締め付けられた。そんな
僕にYさんは力なくボソボソと何か言った。それは音
として僕の耳には届かなかったが、僕には解った。僕
だから解った。「身体に気ぃ付けて、アメリカちゃん
大事にせなアカンで」Yさんはそう言った。僕の心に
は確かに届いた。丸太の様な身体も自己中な行動もに
くたらしい言葉も、もうそこにはなかったが、ベッド
で片足の無い痩せ細っているこの人は、どんな状況で
も本気で僕の心配をするこの人は、変わる事のない何
かを持ったYさんだった。
この日の事を思い出すと今も心が熱くなる。介護職
として仕事として不適切で不要かもしれないけれど、
僕はこの感情のゆらぎは大切にしている。「いずれ皆
何も出来なくなって死ぬ」だからこそ、今出来ること
、それが職員にとって都合が悪い事であっても、大切
にしなければいけないと思う。このコラムにメッセー
ジ性はない。ただの思い出話しだ。でもほんの少しだ
け考えてみてほしい。なぜ立ち上がり、なぜ転倒する
のか。なぜ寂しいのか。なぜ失禁するのか。なぜオム
ツ外しするのか。なぜ食事をこぼすのか。なぜ家に帰
りたいと言うのか。今も僕の頭の中にはあのガラガラ
声で「身体に気ぃ付けて、アメリカちゃんを大事にせ
なアカンで」が残っている…
長女は10歳で、もうとっくに自分で飲み物を用意出
来るのに、毎朝僕が用意をしている。自立心?父ちゃ
んがいつまでもしてげたいんだよ…
あ、それとYさん、アメリカちゃんにもメガネさん
大事にしろって言ってよ。結婚して10年経ったら、ア
メリカちゃんは「北極さん」になったよ。
おしまい
介護職(男性)が日々感じた事を話す、略して「介男
話」です。
またまた委員会で配布したコラムの転載なのですが、
僕と母との思い出です。リスクマネージメントの大切
さについてのコラム、ひまつぶしにどうぞ♡
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委員会が始まるまでの暇つぶしコラム |
“事前にどんな事が起こるのか予測し備える”
これは災害であれ事故であれ、大切な事です。相談員
であれば家族に説明する時、現状を把握し、どんな質
問が来るのか、そして、どの様に返答するのかを事前
に予測し用意しておく…この予測の引き出しが多けれ
ば多いほど冷静に対応が出来るのです。人は冷静さを
失うと必ず失敗します。
『ミラーで確認すべし』
僕には2つ上の姉がいる。姉が中学校に入学する少し
前、母は部活動で帰りが遅くなる事を予測し、車で送
迎出来る様に車の免許を取る決意をした。家事や育児
の合間に教習所に通い、試験も何度か落ちたが、どう
にかこうにか4年後に無事免許を取得したのだった。(
姉ちゃん中学卒業しとるがな!!)
免許を取ってしばらくしたある日、母が僕にドライ
ブを持ちかけてきた。どうやら給油をしなければなら
ず、初めてなので付き合ってほしいというのだ。思春
期真っ只中の僕は母親とドライブなんて恥ずかしくて
嫌だったが、寄り道の御礼に期待し後部座席に乗り込
んだ。
「大丈夫なのかよ…」学生の僕は給油なんてした事
は当然ない。そしてこの母親だ。不安しかなかった。
そんな心配をよそに母は「どうするか大体解ってる。
ダイジョーブダァー!」と志村けんのモノマネをかま
してきた為、僕は心底イラッとした。
ガソリンスタンドに着くと、アルバイトだろうか、
大学生くらいの店員が近付いてきた。母は窓を開け
「レギュラー、マンタン、ゲンキンデ。ハイザラハ
、ダイジョウブデス。」と、あたかもそれを言うと
用意していたかの様に言った。給油が始まると緊張
のほぐれた母は、後部座席を振り返り「余裕ダッチ
ュ~のっ‼」と当時流行っていたギャグをかましてき
た為、僕は全力で無視をした。
支払も終わりおつりを受け取ると、店員は母に尋ね
た。「どちらに行かれますか?」すると母は顔を真っ
赤に染め「私は結婚してます‼後ろに座っているのは
息子です‼」と言うと、一目散にガソリンスタンドを
飛び出して行ったのだった。
…お解り頂けたでしょうか?初めて給油に行く母は
、どんな質問があり、どうやって給油口を開けるのか
等、事前にシミュレーションをしていましたが、「ど
ちらに行かれますか?」という質問は想定していませ
んでした。想定外の質問をされた瞬間頭が真っ白にな
り冷静さを失い、店員はガソリンスタンドから出て「
右に行くのか、左に行くのか」を知る為に「どちらに
行かれますか」と質問したのに、母は自分がどんな顔
であるかも忘れナンパされたと勘違いをし、真っ赤な
顔でガソリンスタンドから出て行ったのでした。
リスクマネージメントなんて言葉がまだ無かったあ
の日、僕は自分自身を見つめ、冷静に対応する大切さ
を、鼻歌を歌いながら上機嫌に運転する母の後ろ姿か
ら学びました。
おしまい♡